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ハーネス

それは信頼の命綱

昔見たドキュメントで
忘れられない物が有ったのを思い出す


雪が降り積もる地方に
一人の盲人と盲導犬が住んでいる

視力を失ったその女性は初めて
動物と暮らす事となったが
元々 動物が好きだったと言う

或る日
彼女は盲導犬を伴って街中に出掛けた
歩きなれた土地とは言え
積もった雪に少々手こずりながら
二人は目的地を目指した

ところが・・・
積もった雪と寒さも手伝ってか
次第に混乱し始める彼女
やっと目的の建物に辿り着いた所で
事件が起きる

左右に石門がある所を普段は通っていた彼女
しかしこの日は『GO!』の命令にも関わらず
盲導犬はその場からガンとして動かない

何度か命令をするうちに
彼女の苛立ちは加速して行く
『リサ!・・・GO!・・・GO!・・・どうしたの?!・・・GO!だってば!!』

そこには
ロープが掛かっていた
そして石門に張り紙が・・・
『こちらを通って下さい』と矢印

運悪く 張られたロープは弛んでいて
彼女が手探りで障害物を探した空間よりも
下に有ったのだった

盲導犬の名前は『リサ』
リサは自分は通れても
御主人が通れば確実に転ぶ事を察知していた

リサはありったけの力で隣の通用門に誘導しようとするが
それが返って御主人の苛立ちを増してしまう

彼ら盲導犬は例え誰かに踏まれても
絶対に声は出さない
それは歯向かわない事で
御主人を守るため

リサのハーネスを持つ手が
離れそうになった その時・・・
通り掛った男性が声を掛けた


   アンタ そこは通れないんだよ
   ロープが掛かってるから
   隣の通用門から入れって書いてある


え・・・・・!

彼女は絶句する
そしてシャガミ込み
リサを抱き締める


その背中に
先程の男性が優しく話しかける

   この雪だ・・・
   早く用事を済ませて帰りな
   この犬を信じてやれよ
   アンタには
   こいつを守る義務が有るんだからさ
   気を付けて行けよ

彼女は何度も頭を下げていた
リサは・・・
心なしか笑顔になっていたように見えた
それは
千切れんばかりに しかし控えめに
いつまでも振られたシッポが
表していた

ハーネス_d0036742_19114185.jpg


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by n_773m | 2010-01-20 19:13 | エッセイ